全国放送で急に

最近、全国放送ニュースで、普天間基地移転問題や、米兵による犯罪が報道されています。
これまでローカルニュースでしかやらないことが多かったのに。
もちろん全国で報道されて、沖縄で起こっていることを広く知ってもらい
問題を提起するのは重要なことです。

毎日のように、違うこと言ってる鳩山内閣のおかげかも。

急に全国で報道されているので、よく事情がわからない人も多いと思います。

石垣島は基地問題については、沖縄本島とは温度差がありますが
ローカル新聞やＴＶで、知る機会が多いので
沖縄に住む者として、現在感じることを書きます。（ちょっと長文）

普天間移設については、とにかく時間がかかっていて
県外か国外希望と言っても
どこかの県が手をあげてくれるわけでもない。
グアムへの一部移転は（基地機能の一部らしい、それがどういうことかよくわからない）既に決定済みらしい。
アメリカでも予算がついた、と聞いた。
でも、鳩山政権が急にどこへ移設するかわからない、とか言い出したから削減されたとか。

この十数年、普天間基地の重圧がなくなる期待と共に、
代替基地をどこに作るかで、ずっと沖縄では悩んできました。

そしてすったもんだの末、辺野古への移設が有力となりました。
ところがそこはジュゴンの住む貴重な海でした。
そこに基地建設なんて、とんでもないと反対運動がわきおこり、基地建設については、あまり進んでない、と言っても過言ではありません。
環境アセスなどが行われましたが、この信頼性については沖縄県知事が一部やり直しを求めるような意見書を提出しています。

そして日本政府と米国が決定した基地建設具体案には、辺野古での基地建設を容認する立場の県知事・名護市長を含めて反対しています。
かみくだいて、ものすごく単純にすると
「ここに基地を作るのはしかたないけど、滑走路の位置がここではイヤだ。」

基地の騒音はすごいです。
沖縄本島の基地周辺に行ったことのある方はご存じですよね。
東京でも横田基地周辺の方はご存じと思います。
もちろん航空機墜落のリスクも常にそこにはあります。
住宅の上を飛んで欲しくない、という気持ちもわかります。
でも、海に建設するとジュゴンがね・・・

あちら立てれば、こちら立たず。
日本政府・米軍・沖縄住民の三すくみ状態。
だれの意見がいちばん重視されるべきなのか・・・

住民の中にも、さまざまな意見があります。

そこへ鳩山政権が、嘉手納統合だとか、既に消えた案まで持ち出して、沖縄県民にゆさぶりをかけてきました。
あげくのはてに、名護市長選を待ってから決めよう、とか日和見発言。
何が目的なのでしょうか。

それで、沖縄の人達もプチンと切れて、県民大会となったわけです。
「もともと県外か国外にしてくれ！ってずっと言ってるよ」と。

もちろん沖縄にも基地から利益を受けている人はたくさんいます。
基地建設工事自体で利益を受ける人もたくさんいます。
でも、それは沖縄に限ったことではなく、ダム建設でも高速道路建設でも同じ事。
沖縄だけの特殊事情ではないと思います。
全国どこでも大規模な公共工事が行われれば、受益者もいれば、不利益を被る人もいる。
環境面で反対する人もいる。騒音被害を受ける人もいる。

沖縄の問題だと、つきはなして考える人もいるようですが
私はどこでも起こりうる問題だと思っています。

そして米兵による犯罪の前に立ちふさがる地位協定。
簡単に言うと、治外法権を認めた不平等条約みたいなものです。
米兵やその関係者が犯罪を犯しても、日本の警察がすぐに調べられない。
逮捕できない。

米兵の犯罪は、沖縄では日常茶飯事のように起こっています。
今回だけではありません。
タクシー強盗なんか毎月１回はあると言っても過言ではないぐらい。
以前は、米兵運転による交通事故はすべて被害者が泣き寝入りだったそうです。
たとえ死亡しても。
米軍は犯人をつかまえるどころか、本国へ返してしまいます。

ちょっと前にも、米兵が飲酒運転の信号無視で３人ひき逃げしました。
幸い、死亡者はいませんでしたが、被害者は失明などの重傷を負いました。
この時も、米軍は謝りに来るどころか、犯人を長期間隠していました。
日本の警察が調べて、さんざん要求して、ようやく犯人を出しました。
でも日本の警察が拘束できないことが多いです。
あくまでも任意の出頭。あるいは基地へ出向いて取り調べ。

今回のひき逃げ事件は、どういうわけかすぐに米軍の司令官が役場に謝りに来て、犯人も要望があれば引き渡すと言いました。
全国の皆さん、あれを見て「米軍もきちんとしてるじゃないか」と思わないでください。

あんなことは滅多にない。
私の知る限りありません。
今回は、全国マスコミ用に、急に協力的なフリをしているだけです。
普段は、役場や議会が事件に抗議決議をして、それを基地に持っていって、それでも司令官には会えなくて、部下の部下ぐらいに決議文を渡して帰ってくるのが普通。
そして回答は「日米地位協定にのっとって行う」。
つまり犯人は引き渡さないもんね、ﾍﾍｯ。という態度。
それが米軍の普通。

だから日米地位協定の改正を、沖縄やその他基地のある自治体は要求しているわけです。
現在、米軍はアスベストでもダイオキシンでも捨て放題。
しかるべき処置もせず、沖縄の処分場とかに捨てて問題化しています。
地位協定に環境問題に対する条項がないからです。
韓国など他国の米軍との地位協定には、ちゃんと含まれているそうです。

私も伝聞で言っているだけなので、事実と違う部分もあるかもしれません。
あくまでも住人として、見聞することからまとめてます。

さて、米軍の犯罪や行為に苦しむ基地関係自治体が、その根源にある地位協定の改正要求に、鳩山政権は応えるつもりはないそうです。
なんで？？？

今回のひき逃げ事件も、せっかく米軍が「要求があれば犯人を引き渡してもいい」って言って来たのに
「地位協定では引き渡さなくてもいいから、要求はしない」だそうです。
せっかく前例を作るチャンスなのに！
米軍がこんな態度を取るのは滅多にないのに。

少しでも、住民に対する不利益を是正する気がないらしい・・・

それを棚にあげて、新しい基地をどこに作るかだけで迷ってるの？

沖縄の基地問題解決に向けたアプローチとしてそれはどうよ？？？

自分の子供の学校の上を、米軍戦闘機が飛んでもいいかどうか。
戦闘機の爆音で先生の声が聞こえなくてもいいかどうか。
夜中の３時に、戦闘機が何台も離陸して、爆音が何十分も続いてもいいかどうか。
家族が米兵にひき逃げされたのに、警察が犯人を逮捕できなくてもいいかどうか。

沖縄には普天間以外にも、いくつも大きな基地があります。
ご存じですか？
こちらの地図で、どれほどの土地を米軍が使用しているかご覧ください。

沖縄が「これ以上イヤだ！」と言うのはおかしいですか？
それで「問題ナシ」としている日本政府はおかしくないですか？

どうかこれを機に、沖縄の問題を、日本全体の問題として引き寄せて考えていただければ幸いです。